当院での胆石症治療について(第一回)
 
当院での胆石症治療について(第一回)

胆石は一般的にもよく聞く病気と思われます。
今回は、当院における胆石症に対する治療法について解説します。まず胆石症とはどういうものか説明します(図1を参照して下さい)。
肝臓でつくられた胆汁という物質は総胆管という管を通って十二指腸まで流れます。途中で胆のうという茄子のような形をした袋で濃縮され蓄えられます。食後に胆のうは収縮して濃縮した胆汁を十二指腸まで押し出します。胆汁は脂肪の消化など様々な役割を担っています。
この胆汁の流れるルートを胆道といい(図1の緑の部分)、胆道にできる結石を胆石といいます。胆のうにできた場合は胆のう結石症、総胆管にできた場合は総胆管結石症といい、治療法が違ってきます。
 


図1 胆のう結石症と総胆管結石症
 
 
1. 胆のう結石症の治療

胆のう結石症は、一般的に胆石と言われます。しかし、結石が存在するだけでは症状は起こりません。結石が胆のうの出口に詰まったりして胆のう炎を起こすと右季肋部痛(右側の肋骨の下の部分の強い腹痛)、発熱などの症状を起こします。症状が出た場合は治療の対象となりますが、症状が無い場合は患者さんと相談して治療を行うか行わないかを決定します。
 
 
2. 総胆管結石症の治療

総胆管結石症という疾患は、一般的にはあまり聞きなれない病気と思われます。しかしこの疾患は先に述べた胆のう結石症に合併することが多く、結石が出口に詰まったりすると発熱・激しい腹痛・黄疸などの症状を起こします。そして重篤になると敗血症となり致命的になる場合もあります。
治療は総胆管結石の除去と胆のう摘出術を行うのが一般的です。胆のう摘出術を行う理由は、胆のう結石自体の合併が多いことと胆のう結石がなくても胆のうでできた結石が総胆管に落下してできた可能性があるためだからです。
当院では総胆管結石除去に対し内視鏡的治療(胃カメラを使って結石を取り出す)を積極的に行っています。また内視鏡的に摘出できない場合は手術治療を行いますが、その場合も腹腔鏡下手術を行い、従来の開腹手術はできるだけ行わない方針で取り組んでいます。胆石症に対する胆のう摘出術を腹腔鏡下手術で行うことは現在では一般的となっていますが、総胆管結石症に対しての腹腔鏡下手術は、まだ一般的ではないのが現状です。よって当院では総胆管結石症と診断した場合の治療は、@まず内視鏡的に総胆管結石を取り除き、腹腔鏡下手術で胆のう摘出術を行うA1回の腹腔鏡下手術で総胆管切石術(結石を取り除くことを切石といいます)・胆のう摘出術を行う、の2通りの方法で施行しています。どうせ手術を行うならAの方法がいいと思われるかもしれませんが、決してそうとは限らず@・Aともに一長一短があります。その理由についてはやや専門的になるため今回は触れないでおきます。
以上述べた総胆管結石症に対する治療の流れは以下のようになります。
 
当院での胆石症治療について説明しました。 次回は胆石についてさらに細かく解説する予定です。
 
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消化器外科部長:普光江 嘉広(ふこうえ よしひろ) 
 
 
 
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