当院での腹腔鏡下幽門側胃切除術について
 
当院での腹腔鏡下幽門側胃切除術について

胃癌に対する腹腔鏡下手術は、今までは早期胃癌に対しての幽門側胃切除術(胃の下方を約3分の2切除する)が積極的に行われてきました。この術式は正確にいうと腹腔鏡補助下幽門側胃切除術であり、胃の切除・切除した胃の取り出し・切除後の再建(胃と腸をつなぐ)を小開腹創から行うことが多く、そのためにどうしても小開腹創が6〜7cm必要でした。
最近になって、胃の切除・切除後の再建を小開腹創から行うのではなく、完全腹腔鏡下のもと、体内で行う方法が行われるようになってきました。この場合、小開腹創は切除した胃の取り出しのみできればよいため、臍下部(おへその下)に約3cmの孤状切開をおくだけで十分となります。よってこの術式は腹腔鏡下幽門側胃切除術といっていいものであり、当然従来の術式よりも更に手術後の痛みが少なく、傷跡も目立ちにくく、早期離床・早期退院が可能であるものといえます。当院では、この術式を一昨年(2005年)より取り入れ、今後も進めていきたいと考えています。以下に図を用いて詳しく説明します。
 
1. まず幽門側胃切除術とは ?

幽門側胃切除とは、胃の出口(幽門)を含めて胃の下方約 3分の2を切除する手術術式です。切除後は残った上方の胃(残胃といいます)約 3分の1と十二指腸を吻合して再建を行います(その先の小腸と残胃をつなぐ場合もあります)。
胃癌に対してのこの手術方法は、癌の局在が胃の中部から下部にある場合に適応となります。
以下に図で示します( 図1 )。
 

図1. 幽門側胃切除術の手順
 
2. 腹腔鏡下幽門側胃切除術とは

この幽門側胃切除術を開腹手術で行なう場合は、図2のaで示す様に臍部(おへそ)まで(場合によっては臍部の下まで)の創(きず)となってしまいます。

腹腔鏡補助下幽門側胃切除術では一般的には切除・再建は体外で行なうため、開腹手術ほど大きな創にはなりませんがどうしても6〜7cmの創は必要となります(図2のb)。

当院で行なっている腹腔鏡下幽門側胃切除術では、先にも述べましたが、切除・再建は体内で行なうため切除した胃を取り出すための創(傷)はおへその下約3cmで十分であり補助下での手術よりも更に小さな創で手術を完遂する事が可能となります(図2のc)。※以上、図2を参考にして下さい
 

※施設により大きさ、位置は多少異なります。  図2. 幽門側胃切除術の手術別にみた創(傷)の違い
 
3.腹腔鏡下幽門側胃切除術後の腹部の状態

下の写真は腹腔鏡下幽門側胃切除を受けた患者さんの手術後の腹部の写真です。
 
 
最後に

以上が当院で行なっている胃癌に対する腹腔鏡下幽門側胃切除術です。
全ての胃癌の患者さんに対しこの手術法が可能というわけではありませんが患者さんにとっては非常に有用な手術術式と思われます。 今後もこの手術を積極的に行っていきたいと考えております。
 
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消化器外科部長:普光江 嘉広(ふこうえ よしひろ) 
 
 
 
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